nantekkotai achieves

過去記事置き場

映画評『白バラの祈り - ゾフィー・ショル、最期の日々』

端的に云うと感動出来ない。
その理由はこの映画が(ゾフィー・ショルが、ではない)不自然だからだ。
正直気持ち悪さすらを感じた。

ナチスドイツ国民が作り上げたものではないか。
まずこの前提をなしには何も語れない。
ナチスは占領軍ではない。
支配者でもない。
同じドイツ人であるし、ワイマール共和国の正当な選挙の結果生まれた政権である。
もちろん、その後は知られているように独裁政権となり、ヒトラーを神格化していったのは事実だ。 しかし、それでもナチスを生んだのはドイツ国民自身である。 ナチスに望んで投票した人たちが一体どんな思いで選択したのか、そういう視点はないのか。
同じドイツ人、いや人間としてなぜ描けないのか。
たまにタバコをくれたり、興味深そうな目をくれる程度の人間(むしろただの役)としてしか描かないのか。
あまりにもナチスを否定するあまり、大事なことから目を逸らしているように思えてならない。

ヒトラーは悪魔だった。ナチス党員は悪魔の手先だった」
これで終しまい。
いろんな意味で何の希望も見えない映画だった。

白バラの祈り -ゾフィー・ショル、最期の日々- [DVD]

白バラの祈り -ゾフィー・ショル、最期の日々- [DVD]
クチコミを見る