nantekkotai achieves

過去記事置き場

映画『スカイ・クロラ』

スカイ・クロラ (通常版) [Blu-ray]スカイ・クロラ (通常版) [Blu-ray]
出演:菊地凛子
販売元:VAP,INC(VAP)(D)
発売日:2009-02-25
おすすめ度:2.5
クチコミを見る


ネットで観たコマーシャルが気になっていたので、久しぶりに映画館で映画を観た。
あの忌まわしき『イノセンス』(僕は結構好きだが)から4年、押井守の新作『スカイ・クロラ』を。

あまり物事を断言するのは好きではないが、個人的なブログなので自分の視点を率直に云うのが適切だろう。
僕はこの映画を見始めて数分で「ああ、映画だ」と素直に感じられた。
それは古いフランス映画のような映画だ。僕が感じたのは、アラン・レネやアンリ・ジョルジュ・クルーゾーのような映画である。夢の中を彷徨うような物語、終わらない物語。 
僕はこの映画が好きだ。

本作でもっとも評価出来るのは、空戦である。
これは間違いない。この空戦を実写でやると、たぶんスカイ・キャプテンが限界であり、どう考えても白ける。
しかし『スカイ・クロラ』 はアニメであり世界の存在自体がもともと嘘のものである。だからなのか、CGバリバリでも映像に説得力があるのだ。
なによりもレシプロがいい。これは男のロマンだ。これだけで100点中1000点を上げたいと思う。

スカイ・クロラ』は、宮崎駿の(ジブリが)崖っぷちのポニョや北野武の『アキレスと亀』と一緒にヴィネツィア映画祭のコンペに出品する。
観るまでは期待していなかったが、日本勢の中でもっとも評価されるだろうと、僕は思う。勝手な思い込みでもあるけれど。

ついでに僕はジム・ジャームッシュアキ・カウリスマキを面白いと思う人間だ。
だから、退屈=悪と考える人間や、人の話を最後まで聞けないような人間にはこの映画をお薦めしない。
 残念ながら押井は普通の映画監督になりつつある。そして映画らしい映画を作れる日本人は、もうほとんどいないことを考えると、これは貴重なことなのかもしれない。
ただおだてすぎると『イノセンス2』を作り出すだろう、たぶん。

(旧ブログからの転載)