nantekkotai achieves

過去記事置き場

日本は生み出すための道具を作ればいいんじゃないか

ふとニコンデジタルカメラを見て思ったことがある。

iPadやGoogleTVを日本で成功させるのが難しいのは、コンテンツが無いからだと思う。
と言っても本当に無い訳でなく、あるべきコンテンツが既得権益にロックされていて、せっかくのデジタルの恩恵を消費者が受けられない。
しかもなぜか、ゲームのルールを彼らに合わせないといけない(なぜだ?)。
企業は余計なコストをかけて不要な機能を付け加えることになる。
当然そんな製品に価格競争力も優れたユーザーエクスペリエンスも期待出来る訳もなく、見事にガラパゴスの暗黒面落ちる。

膨大なコンテンツを自由に流通出来るようにするだけで社会的なイノベーションを起こせるはずだが、今は闇の力が強いので、厳しい厳しい闘いを強いられることだろう。
御愁傷様。

そこで話ははじめに戻る。

どうしてニコンデジタルカメラかというと、キャノンと共に世界的な優位を築いているメイドインジャパンの製品だからだ。
カメラは誰かからコンテンツを借りて表示するインプットの為の機械ではない。
その場でコンテンツを生み出すアウトプットの機械である。
アウトプットの機械であれば、コンテンツの既得権益は全く関係ない。
入り込む余地は殆ど無いはず。

だからまず、思い切ってインプット用メディアの道具を作ることはやめて、まだ充分に対抗出来る部分のあるアウトプットの為の道具を生み出すことに集中してはどうだろう。

僕は、日本人というのは道具と云うものに高い感性を持っていると思う。

手に馴染むという言葉がある。
それは単にサイズや重さがちょうどいいということだけでなく、使っているうちに自然と道具が自分の体の一部になること。
大抵の人がこの意味を知っているし、何より感覚的に理解しているだろうと思う。
だからこそ品質にうるさい消費者がこの国から生まれるのではないか。

確かにインプットメディアの方が金になるだろう。
生み出す人より受身の人の方がいつの世も圧倒的に多い。

しかし日本には江戸時代より培われたアマチュア魂がある。
この気風を活かして、皆がアウトプット・創造し表現する文化と道具を一緒に輸出すれば、再び特異な位置をつかめるのではないだろうか。

優れた道具を生み出すには絶え間ないフィードバックが必要であるが、幸いにして日本には数多くのアマチュアがいる。
これは、新興国の間ではそれほど根付いていない文化だろうと思う。
道具の感性と、多彩で多数なアマチュアな人々。
この部分を活かせば何か出来ると思うのだけど。

日本型イノベーションのすすめ
日本型イノベーションのすすめ
クチコミを見る