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なぜ観光庁は「嵐」を採用したのか

ニューズウィーク観光庁による世界的に展開するPRを批判するコラムが掲載されている。

嵐がニャーと鳴く国に外国人は来たがらない

嵐のメンバーがそれぞれ日本の観光地を訪れ、招き猫のまねをして「ニャー」と鳴く。それだけだ。この映像は7月から世界133カ国・地域の在外公館、国際空港や飛行機、駅のモニターなどで流れている。要するに観光庁が宣伝しているのは嵐で、日本はそのステージにすぎない。制作費はもちろん、国民の税金だ。

嵐の顔はアップになるが、景色はほとんど映らない。せっかくの沖縄も太陽は見えず、砂浜はぬかるみのよう。北海道は食堂が、鹿児島は通りが映るだけだ。
ああ、確かにこれは酷い。
しかし、なぜ観光庁は世界的に知名度の低いジャニーズの「嵐」を採用したのだろうか。
ここから先は完全な推測だが、そのヒントになる一文があった。
私は日本のメディアが何か批判するだろうと思っていたが、とんでもなかった。情報番組『ミヤネ屋』で司会の宮根誠司は、あらためて日本はいいなと思ったと言い、共演者たちも同意した!
なんて頭の悪い人たちなんだ、とコラムニストは思ったに違いない。

でも僕が引っ掛かったのは違うところだった。
そもそもジャニーズ事務所を真っ正面から批判するテレビメディアなどというものを、今までお目に掛かった記憶がないということだ。
ジャニーズ事務所が芸能界に及ぼす影響力を考えれば、うかつに批判などできないのだろう。
批判した人は、完全に干されてしまうに違いない。

そこで話の始めに戻る。
なぜ観光庁はジャニーズを採用するのか。 

それは、ジャニーズ事務所を利用することで間接的に言論統制を行うことができるからではないだろうか。
たとえ明らかに効果がなく、PRが完全に失敗していたとしても、テレビメディアがこのPRの「企画」自体を批判することは無いだろう。
観光庁自体は批判されるかもしれないが、企画立案者は批判されない。
なぜなら「なぜジャニーズを使ったのですか」という疑問自体が地獄の一丁目の入り口に立つことになるからだ。

おそらく身を隠したい人間は、この広報のやり方を考えた人間か組織だろう。
それはつまり某広告代理店ということになると思うのだが。。。

某代理店が「絶対批判させません」という口約束で官僚のメンツが保たれることを保証すれば、役人にとっては何でも良かったのかもしれない。

ただ一番大事なことは、このPRのクライアントは血税払っている国民であるということだ。
そして悲しいことに観光庁に民間人を送り込めない。
大臣を選挙で落とすことも出来ない。
もちろんこの企画を考えた人をクビにすることもできない。

こういった非対称な事柄がこの国には多く残っているが、これが閉塞感の原因じゃないかと思う。

悲しいことだニャー。