デザインとアートの違い
私の中では決着がついたので、ここに書き残す。
デザイン
デザインは対象を制御下に置くために用いられる。デザインされた道具や製品には必ずコントロールするための対象が存在する。岩を動かすには梃子をデザインするし、安全に獲物を仕留めようとすれば弓矢をデザインする。デザインは対象に対する目的を達成するために用いられる。目的を達成できたなかったり、対象をコントロールできていないのであれば、失敗したデザインと言える。
優れたデザインの製品は個性がない。使い手の身体や認識と一体化し始める。デザインは道具を生み出すために用いられると言える。
アート
アートは、作り手の、人格の複製である。アートがデザインと衝突するのはまさにこの点にある。人には人格がある。人格を何者かの制御下に置くことは(倫理上)許されていない。それは奴隷と同義である。
優れたアートとは個性そのものである。複雑な内面を持った一人の人間がそこに居ると感じる。数字としての一人の人間ではなく、世界で唯一の宇宙観を持った、ただ一人の人間が存在するという証明でもある(そしてあなたもそうであると訴えかける)。アートは何者からも自由であり、誰の道具でもないことを示す。
互いは対の概念ではなく混じっている
デザインにも作家性がある。どのように問題を解決するかという点について、偏った見方がある場合、それはアーティスティックな作家性が発揮されていると言える。ゆえにデザインの属性としてアート性が加わることはある。
アーティストが作品の先に別の目的を見据えている時、その作品はデザインされていると言える。作品を道具として扱い、その先に生み出される状況や思想こそが真の狙いである時、アートはデザインとして機能する。アートの側面にデザインが加わっている。
アートとデザインの違いに商業性の有無は関係ない、というのが結論である。