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過去記事置き場

勢いのあるうちに書く

思いついたことは思いついたタイミングで書き記さないと、その後書き出したい欲求も思考の勢いも衰えて、やがて消え去る。自分が考えていた何かしらの理屈も意見もこの世界に投げ出されることのないまま死ぬ。

そんなのでいいのか? よくない。よくないぞ。

「もう少し煮詰まってから書き出そう。これはいい考えだから、きっと誰かに感銘を与えるに違いない。だから、もう少し、きちんと考え抜くことが大事なんだ。それまでは書き出す必要はないし、ましてブログで公開する必要もない」などと考えるのは愚かである。なぜならそんなことを考えているうちに書くことは永遠に訪れないからだ。

確かに、いざ書き出してみると、アイデアというのは非常にぼんやりしていた事に気付く。細部は欠けているし、中身も曖昧で、そのアイデアで埋められる行数もほんのわずか。そして「まだ考えが浅かったな」などと言ってエディタを閉じてしまう。

ちょっと待ちなさい。 だから完成しないのです。

そこから先は、どうにかこうにかアイデアを埋めるための苦行が続くかもしれない。それでもとりあえず書き出すことで、ぼんやりとしたアイデアから雑な文章へとステップアップできる。やがて構成が見えてくる。そして、その文章は書き出されるべきものだったのだとわかってくる。

構成を伴って書き出された文章は、時間への抵抗を身につける。仮にあなたが、書き出したアイデアそのもののことを忘れても、再びその雑なテキストを読めば、ぼんやりにでも思い出せるはず。そして、時間の抵抗に打ち克てるのなら、他の人にだって伝わる。脆弱なアイデアが、風に飛ばされてどこかで花を咲かすかもしれない種子へと変わるのである。

勢いで書き出す事には利点がある。その勢いのまま公開できるということだ。細かいことは気にせずに「勢いで書きました」と言える。長い時間を掛けて熟成していると「勢いで書きました」と言いづらくなるので、余計に公開できなくなる。そして死ぬ。

どれだけ時間を掛けようが、どうせ文章の穴なんてそこら中に空いている。 そんなこと気にしてないで、とっとと書き出して公開するのだ。