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過去記事置き場

適性について

ちょっと昔のことを思い出した。
自分が専門学生で、百貨店でアルバイトをしていた頃のことを。

高校生の頃もコミュ障な方で、この性格を改善したいという想いがあった。そこで接客業を経験すれば対人コミュニケーション能力も向上するのではないかと考えて、某百貨店のアルバイトを始めた。

結論から言うと、望んだほどコミュニケーション能力は向上しなかった。 なぜなら、望んだ能力とは別の能力が爆発的に伸びてしまったからだ。

百貨店員というものは、お客が困っていたら助けてやらなければいけない。いつでも声を掛けてもらえるよう、親しみやすい感じを出しつつ、目のつくところに居ること。

大事なことは、お客の視野に入ること。
そうしないと存在すら気付かれないし、店員に聞くことで問題を解決できるという発想すら浮かばないかもしれない。

悲しいことに、私が身につけたのはこれと逆だった。
私が身につけたのは、気付かれずに店内を縦横無尽に移動するスキルである。

自分でもどうやって習得したのか分からない。何か特別なことをしている訳でもない。いつのまにか、できるようになっていた。
スキルが向上した結果、声を掛けてもらう回数は日毎にどんどん少なくなっていき、仕事を辞める頃には百貨店の店員にも関わらず、一日に一度もお客とコミュニケーションをしないで業務を終わらせることができた。

自分のやっていることを思い返してみると、客の視線方向が変わるタイミングに合わせて、死角に移動しているみたいだった。これを人混みの中でも連続的に行うスキルを身につけたのである。

適性の話

なんでこんなことを書いているのか。
それは、元から備わっている適性と繋がりがある、と思ったからだ。

人の成長は環境の要因が大きいと自分は思っている。学校、会社、所属するグループ。日々交わる人々。こうしたものが、自分を形作る。
過去の自分は環境が与える影響をなんとなく理解していたので、高校は大きく環境の変わる都内に進学したし、自分が苦手なことを積極的にやるために百貨店でアルバイトをしたわけだ。

しかし、それでも変わらないものがあったのだ。
どうやっても伸びてしまう分野があり、それ以外の分野の影響は小さくなる。
これが長所というやつなんだろう。
そして短所は、長所の裏返りであるということも。

あらゆる環境で学べることがある。
けれど、伸びるのはその人の適性のある分野だ。
伸ばしたい部分じゃない。

たぶん、短所を伸ばすには長所を封印する必要があるのではないか。
でもこの方法は非効率。
長所を消しても、新しい長所が出来るわけじゃないだろうし。
初めから素直に、長所を伸ばし、短所は誰かに補ってもらった方が良い。

どうしても伸びてしまう分野があったら、それはもう諦めるしかないと思う。天からの授けものだ。素直に長所を伸ばそう。
自分は店員から、探偵か諜報員にでも鞍替えすべきなのだろう。
積極的なコミュニケーターではなく、こっそり忍び寄ってコナンの腕時計で眠らせるような仕事が向いていたのかもしれない。