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『君に友だちはいらない』



良いチームを作るために。
あるいは良いチームに巡りあうために。
孤独な自分は一体何が出来るのだろうかということ。

書籍タイトルの「友だち」とはダメなチームとして語られる「仲良しグループ」のことだ。彼らの多くは自分に自信がなく、似たもの同士でつるむ。自分たちが優秀ではないことを知っていて、いつも不安を感じている。

そんな連中と同じ場所にいても成長しない。
では「友だち」がダメならば、何が良いのか。
「チーム」である。

本書で紹介されている例として、マッキンゼーのチームアプローチがある。
抜きん出た成績を上げるチームには以下の共通する5つの条件が当てはまるそうだ。
  1. 少人数
  2. 各メンバーが互いに補完的スキルを有する
  3. 共通の目的と達成に責任を持つ
  4. 問題解決のためのアプローチの方法を共有している
  5. メンバーの相互責任がある
そして卓越したチームでは「凡庸な」人が居心地の悪さを感じるくらいの厳しさが必要である。
チームに貢献することへのプレッシャーが無いところでは、非凡な人は退屈し、凡庸な人だけが残る。
楽しいだけのチームには当事者意識が無いのだと、著者は語る。

続けて才能について。

いろいろな分野に才能があるほど、中途半端にどんなポジションにも適応してしまうので大成しない。特定の才能しかない人が、正しいポジションに身を置いたときに、パフォーマンスは最大化する。才能のある人でも間違った場所に行ってしまえば、その才能は発揮されないまま埋もれてしまうのである。

正しい場所に立つことが大事だし、それは自分だけでなく他人も同じである。
もし間違った場所に立っているように見える人が居たら、手を引いてあげるのもいいのかもしれない。
その方がチームに貢献できるわけだし。

非公式な組織に所属しろ、という助言も面白い。
非公式というのは、公的には認められていないネットワークや、所属組織から独立している勉強会など、まさに「秘密結社」的な繋がりと言える。
こうした組織が重要なのは「冗長性の少ないネットワーク」をなるべく多く持つことだと述べる。
冗長性というのは「無駄や重複がある状態」のことを言う。
つまり冗長性が少ないというのは、自分が所属してきたネットワークと、重なる部分が少ないということである。
「自分のことを知らない人たち」ばかりいるネットワークの方が価値が高い。

個人的に一番良かったのはチームというよりネットワークに関することであった。
「見晴らしがよい場所に行け」というものだ。

見晴らしがよい、というのはその会社が扱っている商品やサービスを通じて、業界全体を取り巻く状況を含めて、広く理解することができる という意味だ。

ここからマクドナルドが生まれた例を引き出し、全体を見渡せる場所にいた事でチャンスをものにできた、ということを示している。
見晴らしのよい場所を見つけ、そこからキーパーソンとの繋がりを構築していけば、必ず強力なネットワークが生まれるはず、ということ。
肝心の見晴らしの良いところの見つけ方はマクドナルドの例くらいしか無いのだけれど、それくらいは自分で考えろということなのだろう。
しかしながら、この考え方は妙に納得できる。
仮に給料が少なくとも、一度そういう見晴らしの良い場所に立つと将来のための投資のようにも思えることがある。些細なことかもしれないが、小さな組織にだって見晴らしの良い場所というのがあり、その場所に立つことで危機を未然に防ぐばかりか、チャンスを掴まえることだってできる。
もちろん、そろそろ会社が潰れそうだという危ない状況だってわかるので、生き抜くということを考えれば、割りと自然な発想ではあるのだが。

まとめ。
  • 緊張感の無い似たもの同士の仲良しグループは要らない
  • 多様性と緊張感を持った少人数のチームに入るか作る
  • 優秀な人やチームに巡り合うには、見晴らしの良いところに立つこと