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過去記事置き場

捨てることも設計のプロセスである

効率的に進めなければ罪悪感が生まれる。 進めた先で、気付いたことを取り入れるために、全て作り直すなんてことは最大の無駄なように思える。それを何度も繰り返すとなると、罪の意識が大きい。自分自身を責めるようになる。自信も失われる。あるいはそんな姿を想像して、準備ばかりを練るようになる。先に進めなくなる。結果的に多くの時間を犠牲にしてしまう。

設計は生産とは違う。 途中までの設計を廃棄することは無駄ではない。全てやり直すことがあったとしても無駄ではない。それは必然だ。設計からプロトタイプを作って、素早く問題を見つける。改善する。悪い部分を解決するために、全て作り直すこともある。しかしそれは必然だ。しょうがないのだ。無駄じゃない。

では設計における無駄とは何なのか。

悩んでばかりでプロトタイプを完成させないこと。 時間の無駄である。とっとと試せ。

見つけた問題を小手先で解決してしまうこと。 根本的に解決せず、とりあえずで進めてしまう。 結果的に設計は短時間でできるかもしれない。しかしその問題は長期的には製品に跳ね返ってくる。穴の空いたバケツのようなものだ。もちろん無駄である。

設計のキモは検証プロセスを何度も回すことだと思っている。 そのためには素早くプロトタイプを作る必要がある。敏捷性が求められるのは設計と検証のサイクルだ。ひたすらこれを繰り返す。何度も回し、問題点を修正し続け、妥当な設計を発見する。このために時間を費やす。 この過程で当初の設計は何度も書き直される。しかしこれは無駄じゃない。むしろこれこそが必要なプロセスなのだ。

設計は生産とは違う。同じ効率性を求めてはいけない。 設計の効率性を考えるのなら、アイデアの検証回数を見た方が良いのかもしれない。 もし一度も設計を作り直していないのだとしたら、検証が甘いとも言えるのではないか。

壊して作り直す。 これを繰り返す。 これこそが設計なのではないか。